日本旅館協会(2632会員)の2018年度通常総会が14日、東京都港区のホテルインターコンチネンタル東京ベイで開かれた。役員改選があり、会長を2期4年務めた針谷了氏(滋賀県、湯元舘)が退任し、新しい会長に北原茂樹氏(京都府、旅館こうろ)が選出された。就任のあいさつで北原氏は、住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行や宿泊サービス間の競争激化などを踏まえて、「旅館業を守り抜き、さらに発展させたい」と抱負を述べた。
北原氏は、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)の前会長(15年6月~17年6月)。全旅連会長在任時には、観光庁、厚生労働省が設置した「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」の構成員を務め、政府による民泊制度の設計に意見を述べた。日本旅館協会会員としても事業の推進、旅館業の諸課題に尽力してきたことから新会長に選出された。
新会長の北原氏は「針谷会長の2期4年で、協会の財務体質の改善が進み、民泊や労働生産性の問題にも積極的に取り組むなど、協会は強固な組織になり、活動が飛躍した。その後を引き受けるのは荷が重いが、この業績を後退させることなく、副会長や理事の皆さんの力を借りてがんばりたい」と意欲を語った。
新体制では、副会長9人のうち4人が新任となった。新任の副会長は、浜野浩二氏(北海道、定山渓グランドホテル瑞苑)、金原貴氏(静岡県、時わすれ開華亭)、片岡哲司氏(滋賀県、双葉荘)、永山久徳氏(岡山県、鷲羽山下電ホテル)。再任された副会長は、渡邉和裕氏(福島県、ホテル山水荘)、竹内順一氏(茨城県、大洗ホテル)、富井松一氏(新潟県、松泉閣花月)、新山富左衛門氏(愛媛県、ホテル古湧園)、鶴田浩一郎氏(大分県、ホテルニューツルタ)。
会長を退任した針谷氏は、14年6月の就任以降、経費や事業の見直しによる協会の財務改善、本部会費の軽減などで成果を上げたほか、旅館業の生産性向上では政府の施策とも連動して業界の機運を盛り上げた。針谷氏は「副会長や委員会の皆さんの素晴らしい活動で何とかやってこられた。改めて感謝申し上げたい。私は旅館業を天職と思っている。旅館業が遅れているとか、旧態依然だとか、生産性が低いとか、そう言われるのがたまらなかった。どこまで業界の発展に寄与できたか分からないが、自分自身ではやりきった」と述べ、北原新会長の見識、力量を称え、会員に支援を呼び掛けた。
握手を交わす新会長の北原氏(写真右)と、会長を退任した針谷氏